IT業界のニュース
ITエンジニアに高学歴は必要なのか?
ITエンジニアとして就職、そして飛躍するに当たって気になる項目の一つに「学歴」というものがあります。
履歴書に必ず書かなくてはならない「学齢」ですが、ITエンジニアにとって高学歴は必要なのでしょうか?
今回はITエンジニアと学歴について触れていきます。
ITエンジニアでいうところの高学歴とは?
ITエンジニアでの高学歴というのは、よい大学を出ているというだけではなく、MBA(経営学修士)やビジネス系大学院卒というのも含まれます。
この高学歴はIT系の資格と同等の強い武器になるのかというところが気になる方も少なくないでしょう。
実際、近年、企業に勤めながらビジネス系大学院に通学し、技術職でありながら専門外の分野を学んだり、「MBAを取得してキャリアの幅を広げよう」という希望を持っている学生が多くいるのも事実です。
ビジネス系大学院の主な受講生とは?
理系の学部・学科の出身者が多いエンジニアにとって大学院は、文系の学部出身者よりも身近な存在です。理系の学問は、専門によっては、せめて修士課程まで進んでいなければ一通りの専門知識を得たといえない分野もあります。修士課程、博士課程と進み、大学などに職がある友人をお持ちの方も多いでしょう。
「ビジネスで成功するには、ビジネスに関わる学問知識が有効に違いない」と考える人が少なくないのも事実です。
ビジネス系大学院=高学歴はキャリアアップに役立つ?
しかし、経済学・経営学といった学問は、技術職にとっての理系の学問知識ほど直接役に立つ知識にはなりにくいのが現実ともいえます。
もちろん、例外もあります。
例えば、まだ若いエンジニアが職種を変えて金融業界に転職したいと考える場合には、ファイナンス(金融論)に強いビジネス系大学院に入って、知識を得つつ人間関係を作るのは有効です。金融業界でも業務によってはそれなりに複雑な数学を使います。理系出身者の能力が大きなアドバンテージになるケースは大いにあり得るのです。
しかし、このようなケース以外では、よほどピンポイントで仕事上のニーズとビジネス系大学院の講義内容が一致している物でも無い限り、ITエンジニアがビジネス系大学院に行くことがキャリアのプラスになるケースは少ないでしょう。
高学歴は転職で有利か?
ビジネス系大学院で得た知識や「大学院卒」という肩書きは、転職では有利に働くように考える方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、採用担当者の目から見ると、必ずしもそうではありません。もちろんその熱意は買われることはあります。しかし分かりやすい例えをしてみると、とある企業が30代前半のプログラマーを採用しているとしましょう。そこで社会人になってから大学院を卒業してMBAを持っているということは、採用担当者に資格取得に注力した背景を「本業の仕事が暇だった人」だと推測され、転職活動で不利に働く可能性まであるのです。
=資格にも転職時に同様のことがいえる可能性も=
ビジネス系大学院だけではなく、たくさんの資格を取得している人にもその傾向が当てはまる場合もあります。
例えば、基本情報処理技術者試験、ITストラテジスト試験、MCSE、CompTIA、LPIC、ITIL、Javaプログラミング能力認定試験、英検2級・・・などの、資格をずらっと記載した場合、採用担当者はまず取得した日付を見ます。そしてその日付が前職で勤務していた期間と合致する場合、「仕事は二の次で資格を取っていたのだろうか」と勘ぐってしまうのです。
もちろん学歴同様、資格をたくさん持っていることでプラスに働くケースもありますが、資格を何でもかんでも取るというのは諸刃の剣ともいえるでしょう。
実際、エース級の人材は職場で忙しく仕事に集中しているのが普通であり、ビジネス系大学院に通ったり、資格取得に没頭したり、海外留学を志望するケースは少ないようです。
学歴ロンダリングは有効か?
それでは一流とされる大学の大学院に入って最終学歴を一流大学院卒に変える、通称「学歴ロンダリング」には意味があるのでしょうか?
答えは「あまりプラス効果が無い」といえるでしょう。
企業の人事担当者や学歴に敏感な人々が見るのは、主として「学部で入学した大学の名前と学部・学科」だと言われています。もっとシビアに見る場合は一般入試を受けているか、推薦やAO入試かを見ています。つまり学歴ロンダリングで転職を有利に進めようとするのは、あまり意味が無いことだといえるでしょう。
と、ここまでビジネス系大学院や資格について否定的な意見を述べてきましたが、「勉強をする」「知識を取り入れる」という行為は決して無駄ではありません。今回説明したのは「出世や転職目的のためにビジネス系大学院に通ったり、資格を取得すること」であり、その行為自体には何ら問題が無いのです。
自分がどのような将来を望み、どのようなことを学びたいのかを見極めた上で、ビジネス系大学院や資格を取得するべきなのかを判断するのがベターといえるでしょう。